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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長  安 藤 隆 弘

七月「文月」穂が実る月、と申しますが、気温の変化 がはげしく体調不良をおこしやすい月です。毎月世界が 落ち着きがなく、早く平和になってほしいです。書研の 展覧会も皆様の応募を楽しみにしております。就職や受 験に必ず役立つと言われています。
『展族世界地図』(浅井信雄著 新潮社 平成一三年)に よれば「その多様性は漢族の複合民族性で説明される。 黄河流域の中原を求めて集まった諸民族が長い年月の間 に融合して、共通のアイデンティテイーを築き、全体を 統括する人物が王朝を建てた。夏の時代には人びとは夏 人と名乗り、秦の時代には秦人、漢王朝では漢の名が残 り、民族の名前になったというのであった。今日、漢王 朝では漢人であった。今日漢の名が残り、民族の名前に なったというのだ。」とある。その漢族の言語が漢語で あるが、「周辺からの同化の末、漢語には北京語・上海 語・広東語・客家語・福建語の五大方言が生まれ、互い に理解が困難なほどである。客家語などは周囲の漢語方 言とまったく異なるが、古く漢語に源流をたどることが できるため、客家も漢語と認定される。」と述べている。
民族認定の定義の試みはなされてきたが、決定的な定義 の方法はまだ確立されていず、「民族の不定義」が存在 するだけという。そのなかで「客家も漢語と認定される」 というのは、言語を定義の要素としていると推測される。
その中国での最大民族は総人口の凡そ九二パーセント (通説)を占める漢族で他は少数民族と呼ばれる。その 少数族について『中国の少数民族』(馬 寅主編 君島 久子監訳 三星堂 一九八九年)に一九八二年に実施さ れた最終報告で「漢民族は九三・三パーセントは非漢族 すなわち少数民族」とある。その少数民族は「五五」と しています。
書研も第三十八回展の募集が始まっています。全員参加 で発展させましょう。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品―遊 戯 三 昧
○書体―行書
○読み方―ゆうぎ ざんまい
○語訳
 ・遊戯―遊ぶ
 ・三昧―夢中になる。熱中する。心のままになること
○意味―遊ぶ時は、勉強や仕事のことを忘れて、そのことに熱中すること。したがって、  勉強や仕事に打ち込む時は、そのものに打ち込むことが大切である。すなわち、いい  かげんなことはしないこと。
○文字数―半切四文字
○学び方
 ・心構え―何をするにも、どっちつかずないい加減なことはしないで、そのものに打  ち込むことが大切である。このような心構えをもってこの字を書くとよい。
 ・全体のまとめ方―書道で大切なことは、変化をつけて調和を保つことである。変化  は無限であるから、いろいろな変化のつけ方がある。そして、変化をつけたらおかし  くないようにバランスを保つことが書道である。
  この作品では、一つ一つの文字は変化している。それでいて、半切の大きさの中で  四文字の調和を保つように工夫をしている。
   中心はそろっている
   余白のとり方は、大体そろっている
   また、文字の形に変化がついているが、全体として四文字のバランスがよい
これらのことを考えて書く。
 ・文字の形―「遊」は、しんにょうを下げ、「戯」は、斜めのそりを長く、「三」は  横画の方向に変化をつけて調和を保っている。「昧」はたて画をそって長く書き、
 「戯」のそりと対照的である。
 ・線の書き方―線は、太い、細いと中間の三つの大きさ、太さに分かれている。これ  に気をつけると同時に「方向」の変化にも気をつけたい。
 


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