TOP ⇒ 先生からの言葉

 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 九月は書研展をはじめパラリンピックなど国でも行事 が目白押し、早くコロナがおさまるように祈るばかりで す。では国語教科書について学んで行きましょう。坪内 逍遥は「教科書作りの難しさは、博士論文の二つ分くら いある」(但し氏の場合は旧制中学校用の場合)と述べら れています。国定教科書(明治三八年〜昭和二〇年代) 編集についても、国家事業としてその労苦は並々ではな く、井上赳は政治的軍国主義的圧力に抵抗しながらの経 過を述べて居られます。前記「暫定教科書」とは、第六 期の国定教科書を再編修したものですが、それについて 『文部時報』(文部省 昭和二一年五月号)に「暫定国語 教材の解説について」と題して次のような文章がありま す。「・・・殊に国語科指導として、漢字の提出と読替文 字の順序が不揃であることで、実際指導については、少 なからず迷われることと思うが、一々ここで説明し得る ことは難しい。ただ、教育実践家の識見と秀れたる技量 にまつより他に道はない。いかに粗末な国語教科書であ っても、その果を結ぶことができ、思わざる宝を発見し て、師も弟子もともに喜び、ともに励まし合い、ともに 希望に輝き得ることと信ずるものである。」ここから漢 字指導の、ひいては教育実践の極意を汲み取りたいもの です。本稿資料整理の際に、二六字×二二行の鉛筆書き 原稿が見つかりました。「八月号原稿六月三〇日締切分」 「九月号稿」と二枚、それには何れも「序」とあり、読 み返して、本書の冒頭にも引用したいと思われるような 文脈なので、「文字の正誤」を考える糸口になるのでは ないかと編入させることにしました。序(八月号)とし て「文字を教えるとはどういうことだろうか。」|漢字 や平仮名・片仮名を覚えさせることだろう。|この続き は来月十月となります。体をきたえコロナに打ち勝って 行きましょう。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品 波  涛
○読み方― はとう
○書体―行書体
○意味―おおなみ(大波)
  人生は、良いことも、悪いこともある。時には苦しみ悩む大波もある。そんな時、
 どうしたらよいかということである。ここで、はじめてその人の価値があらわれる。
 苦しみ悩みをじーっとこらえて我慢をし、それを乗り越えられる人はすぐれた人とな
 れる。反対に、愚痴をこぼしたり、人にやつあたりをして困らせる人は値うちが下が
 ってしまう。そして、文句をいう人は、一生涯、自分で苦しみを背負って生きていか
 なければならない。さあ、どちらが良いかである。ここで、もう一度、人生の大波を
 考えてみたいものである。
○学び方
 ●心構え―波涛の意味を考えながら、どういう人生を自分は送ろうとしているのか、
 自分の考えを書いてみよう。
 ●全体のまとめ方―二文字である。はじめはおとなしく、二字目は大きく、大波にあ
 ったつもりで書いてみよう。
 ●字形のとり方―「波」は小さく、「涛」は大きく書く。
 ●用筆―筆づかいは、筆脈を失わないように、それでいて、筆に負けないで、筆先に
 力を入れて書いてみよう。
  特に、折り返すところは、鋒先に力を入れ、はね返すように書くとよい。
  それから、線は平行な線を使わないように工夫をしながら書く。その理由は、書は
 変化の妙といって、変化をつけ、統一することが大切である。そのため、線の方向、
 長短、細太と変化をつけ、変化をつけたらバランスを保つようにし、次にかく線でバ
 ランスを保っていくと、芸術的な書が書ける。
 


copyight (c) 2008 all rights reserved by shoken
designed by ingusto