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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


四月は年度始め、なにもかも新しくなり、木々の緑ま で自然までも変わりつつ、平成の名称までも新しい年号 にと改められました。
 再び全冊に目を通していき、一五冊目の二重枠の題簽 に「附巻引用書目 四声凡例 四等凡例 音韻合考」と あります。表紙を開くと、第一行目に「彙増註補遺序」 とあることで、この冊は『字彙』についての「増註・補 遺」本であることが分かりました。
 「増証」とは、三折裏の七行目に「研思刻意詳加校訂 明正偽謬補其音義闕略而名日増証」(思を研〔きわ〕め 意を刻し、詳かに校訂を加え、明らかに偽謬を正し、其 の音義の闕略を補い、而して名づけて増註と日う)、「補 遺」とは「拾其奇字漏失而名日補遺」(其の奇字の漏失 を拾い而して補遺と日う)というのであります。ところ で序の最後に「寛文壬子仲呂蓂生」、続けて「武江後学簡 室題」とあるのに至って我が国の作文であることに思い 至りました。「寛文」は後西天皇霊元天皇の治世、「壬子」 (みずのえね)はその「一二年」当たり、「仲呂」は「四 月」の異称、蓂は尭の時代に生えて瑞草とされているの で「佳日」とします。「武江」は「武蔵野国の江戸」、「後 学簡室」は「後進の書斎」での「題」著述ということに なります。その下に一寸角の四字押印。寛文一二(一六 七二)年は『字彙』完成の一六一五年から僅か五十余年 後であります。その先人への「増註補遺」は、じつに「偽 処正復不少此其故何也智者千慮之一失而巳余毎開巻不能 無遺憾焉」(偽しき処正に復た少なからず、此れ其の故 は何ぞや、智者千慮の一失のみ、余開巻する毎に遺憾無 き能はず焉)の思いからでありました。
 なお「音韻合考」最後の行に、漢字に平仮名を添え「本 朝流布之韻也」と「本朝」の二字で我が国の著述であるこ とを確認しました。  今年の展覧会は、九月七日八日、しっかり学んで行き ましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

 鳥 歌 花 舞
○書体 ― 行書(四文字)
○読み方 ― 鳥歌い、花舞う。
○意味―鳥が歌い、花が舞うという意味は、季節の春をよんだことばである。美しい春  である。こういう季節になると、心もうきたち、明るい感じがしてくる。このことば  から、人間もこのように明るく楽しく生きたいものである。
○学び方  
・心構え―冬の寒く暗い雰囲気から、明るく楽しい春を思い出しながら書いていくと  よい。そうすると文字も楽しく表現される。文字を書く時、どんな気持ちを持って書  くかによって明るい文字、暗い文字が書きあらわされる。
 ・全体のまとめ方―用紙に対して、文字の大きさを考える。まわりに余り余白ができ  すぎると、用紙と文字とのバランスが悪い。それでいて、文字と文字との間の字間は  適当に、同じくらいあける。そして、四文字とも中心をそろえて書く。
 ・文字の形―「鳥」「歌」「花」は大体正方形ぐらいの形にする。「舞」だけは終画を  思い切り長くする・長くするためには、前の三文字を少し上に書くとよい。   そして「歌」は少し小さめに書き、文字の大きさに変化をつける。変化をつけると   あきないで見られる。
 ・用筆法―筆は立てるようにして、筆力を出す。長い線は、少し長めに書くようにす  ると、文字のバランスもよい。そして長い線を書いたら、他の線は少し短めにすると  あきない。特に起筆から送筆への書き方に注意する。起筆で鋒先に力を入れ(筆圧を  加え)、それから、送筆に移る時、わずかではあるがさらに筆圧を加えながら送筆に移  るとよい線が書ける。ここで力が入らないと、起筆がコブになってしまう。終筆に近  づくに従い、少しずつ筆をあげていくとよい。
 


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