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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


秋色もいよいよ濃く、冷気身にしむ候となりました。 夏のざわめきもあっという間に通りすぎて行きました。
 もし「国語の教科書の文字の形や、書写の教科書の形 が違っていたらどうしよう。」
-A社とB社の文字の形でも違うことだってあり得るし、 戦前の教科書と現在の教科書とでも違うし、それに極端 な場合には、国定教科書時代の字形間にも違いがみつか るのだから、たとえば、第三期の国語読本では「 」と 教えていたのだ。-
「テストで今そのように書いたら完全に『×』だな。と 言っても書道の古典にはそのように書いた資料がある。 漢字の実現形には異体字という考えもあるし、俗字・通 用体などと存在を許している。」
-第三期といえば、大正生まれの大部分の方々がそのよ うに習ったわけだし、それに新字形が多く採用されて、 「鐵」も「鉄」と教えられている。現在は旁が「失」に なっているが、 -ひところ、製鉄業界から「金を失うは 縁起が悪いから、金偏に矢にしたほうがよい」の論がで たようだが、きっと大正生まれの世代の発言かも知れな い。-
「日本の文字の教育にはどうしても、正誤・○×がつき まとい易いが…」
- 現象面として避けがたいが、物事を善悪・白黒とか正 誤○×とかで処理しようとすると、無理が生じたりギク シャクしたりするんだなあ。-
「そこに文字についての幅広い知識と、豊かな教育技術 が要求されるわけだな。」いろいろな文字の変化の中で だんだんと現在つかわれている漢字になってきています。 今年も残り二ヶ月となりコロナで始まり早く終息してほ しいと思いますが、そんな中でも全国書写書道展を行う ことは、会員皆さんのお陰です。
 これからも頑張って行きましょう。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品 素 秋 始 啓 清 風 激 暑
○読み方― 素秋始めて啓き 清風暑に激す
○意味―初めて秋の時候となって、清い風が暑さに対抗する。
  夏は暑い。しかし、秋になって涼しい風が訪れると、人々は秋の季節を思いおこす。
  季節、季節の移り変わりというものは大切なものである。
○学び方
 ●心構え―夏と秋を比べて、季節の移り変わりを大切にしていきたいものである。
 ●全体のまとめ方―一行書きで、一行に八文字を書く。この場合、大切なことは、中心をそろえることである。また、一行に八文字を書くということは、文字と文字との  余白を狭くしないと書けない。それでいて行の両側があくので、いくつか長い線を左  右に出して、全体のバランスを保つ。どの線が長く、どの線が短いかは、手本を見て  参考にしてほしい。また、文字の大小の変化をつけると、変化があってバランスが保  たれる。
 ●文字のまとめ方―文字の中で、特に長い線は少し長めに書き、長い線以外は狭めて  文字の形をまとめるとよい。
 ●線(用筆・運筆)の書き方―どの線も、起筆をしっかりと押さえて書くようにする  とよい。毛筆は、力を入れると太くなるが、太くなると毛筆の毛の多い腹で書きたが  る。そうすると力が弱くなる。なるべく筆の先に力を入れ、筆毛を立てるようにして  書くとよい。
  線は、長い線と短い線がある。また、方向に変化がついている。こうした変化は、  文字の形のとり方をバランスよく保つようにしながら書くとよい。
  墨つぎは「素」「啓」「清」「激」の四回墨つぎをしている。これは、毛筆が太く  ないという証拠である。半紙を書く筆と、墨を少し濃くすると、このように書ける。
 


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