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 先生からの言葉(巻頭言



二○二四年度のまとめ
全国書教研連盟会長  村上美碩

「一月は行く」「二月は逃げる」「三月は去る」など ともいいますが、新年を迎えたと思えばもう三月。
 三月は日本の伝統行事であるひな祭りが行われる特別 な月であり、卒業や学期末•年度末でもあります。この 時期は、春の訪れを感じるとともに、子どもたちの成長 を祝う大切な行事が重なります。書研も年度末にあたり、 来年度の目標を設定することは非常に重要だと思います。 これまでの学びを振り返り、自分の成長を実感すること が大切です。書写書道は技能だけでなく、心を整える芸 術でもあります。
 基本能力の向上、筆の持ち方や運筆の能力をさらに磨 き、より美しい文字を書くことを目指します。漢字や仮 名のバランスを意識し、調和のとれた良い作品ができる ように努力をしてみましょう。
 作品の表現力を高めることも大切です。書写書道はた だ文字を書くだけではなく、感情や思いを表現できるも のでもあるとおもいます。来年度は、テーマを持った作 品などにも挑戦してみましょう。
 自己評価を行い、進歩を確認することも重要です。目 標に向かってどのように進んでいるのかを見つめ直し、 必要に応じて常に目標を修正することで、より効果的な 学びを把握できます。
 来年度も書写書道にしっかり取り組み、前向きに進ん でいきたいと思います。書写書道を通じて得られる経験 や感動を大切にし、より深い理解と技能の向上を目指し て努力していきたいものです。
 三月は次のステップへの別れのとき―。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「盖 聞 ニ 儀」
○読み方―盖 聞 ニ 儀
○意味―原稿は太宗皇帝が書き、唐時代に僧 懐仁が王羲之の書いた行書から集めたもの  で、集字なのでつながりがはっきりしていないが、よくまとめたものである。この出だ  しのことばである。総字数は千七百九十二字あり、行書の逸品である。
○学び方
  半切四字で行書体、はじめと二字目に墨をつけ、四字目で墨をつけ「ニ」のところは  かすれる。中心はそろえて書く、これは基本。 ○全体の書き方―「盖」で墨をたっぷりとつけ「聞」くのはじめでつけ、四字目の「儀」  でたっぷりとつけて墨の濃さに変化をつけた。「盖」で少し左に寄りあとは中心にあわせ  て書いた。
○「盖聞ニ儀」は墨つぎに工夫をし、「ニ」がかすれるようにした。
 書体は行書である。
○文字一字ずつ―半折四字にまとめたので、字間はあいたが、つながりに気をつける。
○一字ずつあける―行書であり十七帖の王羲之の草書体であっても、十七帖のようにけじ  めはしっかりとしている。これが書道の特徴である。

 


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