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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


第三十七回全国書写書道展覧会も無事大成功となり皆 様に御礼申し上げます。又、資格をもって進学や就職に 役に立つよう書研は努力しておりますので、早く美しい 字をめざし、頑張って行きましょう。先月のつづきから
 ◎渡来と拡がり 楷樹の存在は、中国渡来の各種字書 によって知られていたー、『槐記』によって楷樹が盃と して加工されていたことも記されている。しかし現物渡 来については近代以降となる。試みに渡来と拡がりを、 次のように三期に分けてみた。
 第一期 大正四年、白沢保美農商務省林業試験場長が 出張の途次、山東省の孔子廟前で楷樹の種子を採集し、 帰国後下種育苗に成功してから、昭和二〇年の戦争終結 まで、受容期とでも称すべきであろうか。
 第二期 人工交配が成功した昭和三八年頃まで。
 第三期 人工交配の成功により増殖が促進され、各地 で栽培されるようになった昭和三八年頃以降現在に至る。 挿し木・取り木・接木などによる増殖の試みは成功した ことがないようであるが(昭和末年頃まで)、最初に分 け木に成功した楷樹は埼玉県立熊谷図書館に寄贈されて いる。このような期立ての作業の中で、最も興味を抱い たのは第一期の渡来当初の詮索であり、第二期の人工交 配成功による第二世の発展であった。
 長い年月をかけて楷樹が日本に渡来し拡がったことが こんなにも知ることができるように書きだした。
 今年もあわただしく十一月となってしまいました。こ んな時こそ、身を引きしめて風邪等にかからぬよう、一 歩一歩進んで行きましょう。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品―「桑 拓 傍 湖 田」
訓読文―「桑 拓 傍 湖 田」
書き下し文―「桑拓、湖に傍う田」
通釈―桑畑を拓く 湖のそばの田んぼ(湖のほとりの田んぼには桑の木が茂る)
語釈―拓く=干拓で開こんすること=ひろげる
学び方
 ● 全体のまとめ方―墨つぎを「桑」と「湖」にし、遠近感(立体感)出すこと。
  ・中心はそろえる。
  ・字間、天地左右は大体同じようにあける。
  ・文字や線の太い、細いに気をつけて書く。
  ・署名―小さく、字間を同じようにあける。
 ● 文字の書き方
  ・文字と文字が続いていくように書く。特に線と線のつながりに気をつける。
  ・墨つぎは―二ヶ所であるが、急に墨の濃さを変えないで、自然に流れるように    変化を保つ。
  ・文字の大小の変化―文字の大小の変化により、縦長、横長、正方形と大体三つ    に分かれる。
  ・八頭身になるように―八頭身とは頭が短く、足の長いことで、これはスタイル    がよい、そのように書くこと。
  ・文字には一つの文字に特に長い線は一つか二つある。これを長くするかわりに、    他の文字の線は対称的に短くしないとつりあいがとれない。
 ● 線の書き方
  ・長い線は長く、短い線は短く書かないと変化が出ない。手本をよく見て書くこと。   ・太い、細いの線が書道には大切である。(細い線は「骨書法」太い線は「かご字法」   「双鉤塡墨」という)。「変化」がないと「書道」にはなれない。   「線」は、は
じめは軽く止め、次に中ほどまで太くし、中程が過ぎたら軽くする。  
 


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