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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


謹んで新春の御祝いを申し上げます。旧年中は書研会 員の皆様の努力の中、格別のお引き立てを賜り感謝いた します。本年も楽しく学んで行きましょう。
 現在の教育制度下で「教科書」とは、「小学校、中学 校、高等学校及びこれらに準ずる学校において、教科課 程の構成に応じて配列された教科の主たる教材と、教授 の用に供せられる児童又は生徒用図書」(教科書の発行 に関する臨時措置法第二条第一項)と意義づけられてい るが、教科書体により印刷されているのは、小学校用の ものです。中学国語科で新出漢字を示す場合には、書写 の便をはかって教科書体を用いています。
 教科書体の「体」とは、「字体」と解するよりも実現体 としての「書体」と考えたほうが妥当であります。つい でに印刷文字の書体として次のような種類が挙げられます。
 A明朝・清朝・宋朝・行書・草書・隷書・篆書・ゴシ ック・アンチック・ローマン・イタリック等(『諸橋大 漢和』)
 B漢字・仮名に、明朝体・ゴシック体・アンチック体 ・清朝体・宋朝体があり、欧文にローマン体・イタリッ ク体・サンセリフ体・スクリプト体・ゴシック体などが ある。(『広辞苑』)
 C図版により、明朝・清朝・正楷・宋朝・草書・隷書 ・ゴシック・丸ゴシック・アンチックの各体を示す。 (『世界大百科事典』)
 資料(『漢字』佐藤慶之輔著 丸善 昭和八年)によ ると、昭和九年、森川健市が上海の正楷印刷局から「漢 字正楷書活字」(原字筆者 北京 鄭午昌)を購入、木 彫家大間善治郎が日本風に調整、日本にない日本製国字 三七〇字及び片仮名平仮名もその折に製作したと言いま す。ゆっくりと日本文字が変化していくように、私達も しっかり前を向いて進んでいきましょう。今年も体をき たえ、なにごとにも負けない体にしましょう。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品― 康 遠 恵 暁
○書体― 行 書
○読み方―こうえん けいぎょう
○語釈―康遠は、いつまでも安らか。恵暁は恵みがやってくること。
○意味―いつまでも安らかで、恵みがやってくる、ということ。
  これは、誰しもが望むことで、やすらかな毎日が続き、恵まれたらどんなにありが  たいか、そうありたいという人間の願望をことばであらわしたものである。
○学び方
 ● 心構え―人は、よく生きようとするか、自分の欲望を叶えるために、つい他人をせ  めたり、おこったりする。すなわち、良く生きようと努力をしているか、悪く生きよ  うとしているかは、その人の考え方で決まってくる。
  また、良く生きている積もりでも、結果が悪かったりすることがよくある。そうい  う時、よく生きるためには、反省が必要である。そのためには、良いことばを見たり、  書いたりして直す。そのために、このことばを書いてみる。
 ● 全体のまとめ―漢字四文字であるが、半切一行にまとめるために、文字の大きさ、  字間の余白を考えて、どこに文字を書いたらよいのかを考えて書くこと。特に気をつ  けたいことは、あとへ行くほど書いた文字は大きくなりがちである。したがって、は  じめの文字を大きくなりすぎないことが大切である。
 ● 文字の書き方―中心にそって文字を書いていくが、同じ形の文字にならないこと、  変化をつけてバランスを保つために、康をたて長、遠を横長、恵をたて長、暁は大き  く形としては正方形になるようにと変化をつける。
 ● 筆づかい―同じ方向の線や、同じ太さの線、同じ長さの線をさけ、変化をつける。  それでいて、全体にバランスよく書く。
  また、余白も文字によって変化をつけるとよい、
 


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