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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


夏休みは連日暑い日々の中、運動や学習に休む間もあ りませんでした。今年も全国書写書道展覧会が九月七日 八日と日本の中央、文京シビックセンターで行うことに なりました。多くの作品の中から優秀な作品を撰ぶこと が出来ましたことを書研の皆様に感謝致します。
◎「辞書の思い出」
 修学期 小学校時代
 小学校に入学したのは昭和八年、まだ小学生用の国語 辞書は無く、予習のためには各科の「学習参考書」があ り、用を足していました。
 しかし五年生ころになるとその語句解説に飽き足りな くなってきました。丁度二学年上の兄が中学校に入学し、 ずっしりとした国語と漢字の辞書を買って貰いました。 国語は臙脂色の『辞苑』(博文館)、漢字は『詳解漢和大 辞典』(富山房)でした。二人で机を並べていましたが、 漢字の方は難しくて歯が立ちません。それでも『辞苑』 のほうは、分からない所もありましたが、分かる所は分かるという気概で、兄の留守中に拝借していました。語句解釈をノートへ引き写していましたが一知半解という ところかも知れません。
 遂には友人に辞書を見せたくなり、兄に内緒で風呂敷 に包み、登校をし、友人に見せるために机の上に出し、 ささやかな我が「辞書の入門期」でありました。
 師範学校予科(五年間)時代  小学校卒業後、特殊な官立師範学校で、家庭から離れて寮生活でした。その時、父親から買い与えられたのは、 漢字は『詳解漢和大辞典』(服部卯之𠮷著 富山房)、国語は『辞林』(金沢庄三郎編)。友人のものも、兄が持っ ていた『辞苑』でした。成人後、神田の古書店街で、外装の臙脂色であった『辞苑』を見つけ懐かしく思ったが 大切、時はすでに『広辞苑』の時代になっていました。 時代は常に進歩するので、ゆるぎない実力をつけていく ことが大切だと思い、前を進んでいきましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「鐘 聲 烟 外 寺、燈 火 樹 間 家」

○書体 ― 行書
○文字数 ― 10 字
○読み方 ― 鐘声、烟外の寺、燈火 樹間の家
○意味― 鐘の音が、もやの向こうの寺から聞かれ、ともしびが木の間の家からもれ光る。
○学び方  
●心構え― 鐘の音が遠くの方から聞こえてくる。その時は、あたりが暗くなり、どの  家でもあかりをつける。そのあかりが木の間からかすかに見えるといった風景を述べ  た詩である。
  鐘の音も、ともしびもはっきりしないところに、一日の夕暮れがほのかに見える。  ちょっとさびしい情景である。そんな時、人間は何を考えるであろう。一日の仕事が  終った安心感と、何かさびしさを想像させる。いかにも一日の終りをつげるようだ。  そういう情景を想い出し乍らこの文字を書くとよい。  
●全体のまとめ方― 10 字を半切の画仙紙にまとめるためには、やはり2行に書くとよ  い。一行目は 7文字、二行目は3文字のため、二行目はあきすぎる。そこで、二行  目へ、この詩を作った「館柳湾詩句」ということばを書き、その下へ署名を入れた。  この時、本文より、詩を作った人のことばを少し小さく、署名は、さらに少し小さく  書く。しかも、本文と詩句と署名の間を少しあけるとよい。
  墨つぎは、2か所で「鐘」と「寺」である。墨色は余り濃くない。  行の中心はそろえるとよい。 
●文字の形―文字の形は、大小の変化をつける。そして、文字がつづいていくように  する  
●用筆法―線の折れるところは、すぐにはね返るようにすると筆力が出る。また、墨  をつけたところは太く、にじむように書き、かすれてきたら、改めて墨をつけ直すよ  うにする。長い線があったら、他は短くするようにするとバランスがよい。
 


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