巳年のはじまり
全国書教研連盟会長 村上美碩
二○二五年―あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
書研の新年号の課題や学校の冬休みの宿題としても出
されることの多い正月の行事の一つでもある「書き初め」
書き初めは、古くから多くの人に親しまれている文化
です。文字がきれいに書けるようになる一年の抱負や目
標を立てるという意味があります。
書き初めの歴史は古く、平安時代の宮中行事が起源と
されています。「吉書始め」と言われていました。元日
の朝早く初汲みした若水で墨をすり、その年の恵方(縁
起のいい方向)に向かい書く行事でした。長い時を経て、
江戸時代に入ると、全国に寺子屋が普及し庶民の間にも
書き初めは一般的な習わしとして浸透しました。
江戸時代は「書」が重要視されていたこともあり、自
宅で書き初めを行う家庭も増えたと言われています。
明治時代には、習字(書写書道)の教育が義務教育と
なり、江戸時代よりも書き初めは一般的な文化になり今
日に至っています。
今月の課題は、八つ切り半紙(1̶8半紙)に気持ちも
文字も太め大きめに書いてみましょう。
今年も目標をしっかり立て、努力、精進してまいりた
いものです。
条幅作品の解説
阿 保 幽 谷
○作品―山 秋 菊 葉 香
○読み方―山秋にして菊葉香し
○意味―山中ではあい変わらずの秋で、菊の葉までが香気を放っている。
○学び方―
・行書で書く。
・全体のまとめ方
・墨は濃いほうがよい。
・半紙の用紙を五つに折って書くとよい。
・書くとき、一行にうまくまとめるように文字の大きさを考えて書く。
(名跡墨場必携
310
頁)
|