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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 命題の初めの「漢字」は、過去・現在にわたって通用してい る実体としての漢字であり、後の「漢字」は、実体に名称・名 付けである。
*漢民族の常用していた文字としての漢字
*最も長期であり文物の発展した漢王朝への賛辞としての漢字 これらは常識的な説明であるが、次に生じたのは、
①時ー何時頃から言われだしたのか。
②誰・所ー特定の人物でなくとも名付けの主体と、どのような 集団であったのか。
③状況ー他と区別しなければならなかった状況。というような 疑問である。
①時 中国大陸で文字の始まりは、象形によった、人の正面形 の胸に文身の模様を加えた形を「文」とした。それは殷王朝以前 にはすでに成立していた。その義を「あや、飾り、もじ、ふみ、 みやびやか」などと拡充していった。周囲の国々に文字の無か った時代には、あえて「漢の文字」「漢字」のように他と区別す る必要は無かったはずである。それまでにあった「文」「文字」 で十分であったのではないか。現在我が国では「文字」を「もじ」 と読むが「文」は「も」の訓はない。それについて『常用漢字表』 は備考欄に〔「文字」は、「モジ」とも。〕としている。
『仙覚抄』(一二〇三年)「この集のならひ仮名をかくこともお ほかれば、漢字によりて」
『古事記』(一二一二年)「主上召して…可用漢字之由」(漢字ヲ 用ヒル可キノ由
『名語記』(一二六八年)「漢字をまなといへり」
『徒然草』(一三三〇年)「近き世に、ぼろんじ、梵字、漢字な どいひける者」
『庭訓往来』(一四世紀後半)「四月状 清書草案ノ手書・真名 仮名ノ能書・梵字漢字ノ達者」
『諸橋大漢和』〔元史 兵志〕「造蒙古漢分冊以聞、其総数蓋不 可知也」
これは日本の辞書に従って「漢字」という名称の出現した時代 をさかのぼった資料。
 古事記には、この書巻を撰んで筆録した太安万侶の序文がついている。  
 その末尾に、和銅五年(七一二)一月二十八日に完成して献上すると 記されていて、養老四年(七二〇)五月に成った日本書紀より八年古い ことになる。
9月度スピーチ
 


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