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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長  安 藤 隆 弘

 五月です。皐月 若葉が風薫る頃となりました。新年 度がはじまり多少お疲れも出る頃ですが深呼吸をして落 ち着いて行動しましょう。
 日本人は日常、漢字と仮名を使って「漢字仮名交じり 文」を読み書きします。私も小学校に入学してから、何 の疑いもなく漢字と仮名、それも平仮名と片仮名を使い 分けしながら学習をしていました。一四年間の学習期間 を経て教師となり、やはり疑いもなく漢字と仮名での読 み書きを教えていました。そのように一〇年二〇年と学 習指導をしている間に、ふと「何故漢字を漢字というの か」という疑問を抱きました。また筆順について「先人 の長い間にわたる経験と知恵が生み出したもの」との文 がありました。ところが「川」の筆順を、「真ん中を先 に書く」という小説『大菩薩峠』に出会いました。それ は江戸時代の寺子屋での描写で、それ以前にも芥川龍之 介や吉川英治の自署がそうなっているのを見かけました。
しかしそれは毛筆による行書体なのでと自分自身に言い 聞かせていました。そのような「先人の長い間」とある 筆順について資料を探していく間に、では漢字の本家で ある中国では如何であろうかとも考えてみました。この ように文字についていくと、漢字と平仮名と片仮名とを まとめる用語がほしくなりました。そのような中で出会 ったのが、「その優れたシステムとはたらき」の傍題が 添えられてある『世界の中の日本文学』(橋本万太郎他 四名共著 弘文堂 昭和五五年)でした。その「日本文 学」が私の求めていたものでした。以下、「日本文学」 をベースにして文章を綴っていきます。これから書研の 皆様とどんどん学んでいきましょう。特に『いろは四十 七文字の秘密』をしっかり考えながら進んでいきます。 健康が一番、体をきたえていきましょう。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

鳥 歌 花 舞
○書体―行書(四文字)
○読み方―鳥歌い、花舞う。
○意味―鳥が歌い、花が舞うという意味は、季節の春をよんだことばである。美しい春    である。こういう季節になると、心もうきたち、明るい感じがしてくる。このことば       から、人間もこのように明るく楽しく生きたいものである。
○学び方
 ・心構え―冬の寒く暗い雰囲気から、明るく楽しい春を思いだしながら書いていくと  よい。そうすると文字も楽しく表現される。文字を書く時、どんな気持ちを持って書  くかによって明るい文字、暗い文字が書きあらわされる。
 ・全体のまとめ方―用紙に対して、文字の大きさを考える。まわりに余り余白ができ  すぎると、用紙と文字とのバランスが悪い。それでいて、文字と文字との間の字間は  適当に、同じくらいあける。そして、四文字とも中心をそろえて書く。
 ・文字の形―「鳥」「歌」「花」は大体正方形ぐらいの形にする。「舞」だけは終画を  思い切り長くする。長くするためには、前の三文字を少し上に書くとよい。
  そして「歌」は少し小さめに書き、文字の大きさに変化をつける。変化をつけると  あきないで見られる。
 ・用筆法―筆は立てるようにして、筆力を出す。長い線は、少し長めに書くようにす  ると、文字のバランスもよい。そして長い線を書いたら、他の線は少し短めにすると  あきない。特に起筆から送筆への書き方に注意する。起筆で鋒先に力を入れ(筆厚を  加え)それから、送筆に移る時、わずかではあるがさらに筆圧を加えながら送筆に移  るとよい線が書ける。ここで力が入らないと、起筆がコブになってしまう。終筆に近  づくに従い、少しずつ筆をあげていくとよい。 
 


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