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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


今年も今月が最後の月になりました。またやり残した ことがないように粘り強くやっていきましょう。
*『節用集』固有名詞から普通名詞のように用いられる ようになりました。読みは「せつようしゅう」とも「せ っちょうしゅう」とも用いられており、室町時代に禅僧 によって編纂されました。「その後続々改版せられて普く 世間に流布し、遂に「節用集」の名は伊呂波引通俗辞書を 意味するまでになった。」(日本古典全集『易林本 節用 集』日本古典全集刊行会 大正十五年)『日葡辞書』には、 「字引」関連の用語は無いが「Xetyoxaセツヨウシュ (節用集)語彙集のように或る書物の名。」と「節用集」 を収めてあります。
『和英英和語林集成』では「Setuyo節用」と、すでに普 通名詞の用法になっているようです。ここでまず「節用」 の語義を探ることにします。辞書の「節用 費用や労力 を節約すること。」の解に従うと、「節用集」とは「文字 の学習や使い方に手早く対応できる書物」となるのでし ょうか。  
次には「節」の一字を見ると、幾つか有る語義の中に 「のり。法度。」があります。之に従えば、「この本を 使えば、間違えることなく文字使いができる」と考えて みました。いずれにせよ、「文字の正しい用法に従い簡 便に間違いなく」ということに「節用集」の名付けがあっ たと推測してみました。次にキリシタン資料としての辞 書『日葡辞書』と字書『落葉集』、あまり知られていない 中国の『説分解字』『千禄字書』『字彙』『小字氾』『漢語 大辞典』を紹介することにします。あっという間の一年 間でしたが実のある年でありましたことを書研の皆様に 深く感謝いたします。そして平成最後の記念すべき年で すので健康で迎えられますようにお祈り申し上げます。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「天 下 之 象」(てんかのぞう)

○書体 ―楷書「孔子廟堂碑」唐時代の虞世南の書、四文字
○読み方 ― 「天 下 之 象」(てんかのぞう)
○通釈 ― 「この世の象」といういい方、(本当は「図象」とあって、文字という意味)
○学び方
 ●心構え ― 「孔子廟堂碑」の特徴を生かして書くこと。   「孔子廟堂碑」は、おだやかで、人間でいうと、〝天才と白痴は紙一重〞といわれ   るように、上手と下手とは見境がつかない。それほど「孔子廟堂碑」は上手と下手   とはわからないといわれる「おだやか」というのは、上手な人も下手な人もわから   ないほど区別がつきにくい。そういう気持ちで(誰でも書ける)と思って書くこと。
 ●全体のまとめ方 ― 中心をそろえる。したがって、紙を折り、半切の二分の一の紙   を四つ折り、中心を四つとも一つにして四つに区切る。全体のまとめ方は、文字の   中心が一つになっていないといけないということである。そのためにも中心をそろえる。
 ●文字の形 ― おだやかな線(途中がふくらむ)で、丸味のある線を書く、文字の形   はたて長にして書く文字が多い。
 ●線の書き方 ― 線の途中がふくらみ、角のとれた線でおだやかに書く。
 ●墨つぎ ― 「天」「象」ですみをつける。したがって「天」を書いたら「下」と「之」   は一回の墨で書く。「之」でかすれるようにする。
 ●筆 ― 半紙を書く筆で、二本つかって書くとよい。―力が入り、力強い線が書ける。
 


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