| 往くとし二○二五年
全国書教研連盟会長 村上美碩
十二月、今年も残すところわずかとなり、何かと心落
ち着かないことと思います。書写書道においても、今年
一年の研鑽を振り返り、さらなる向上を希うころとなり
ました。
この一年はどうでしたか。喜びや成長、挑戦や学びが
多々あったことと思います。筆をとり、心を込めて書と
向き合い、自分自身と対話してきましたか。
書は心の状態や精神性を映し出す鏡とも言えます。だ
からこそ、日々の練習や作品には、真摯な姿勢と集中力
が求められます。
これまでを振り返ると、私たちの活動や努力が実を結
び、新たな目標に向かって一歩ずつ進んできたことに誇
りを感じます。書写書道を通じて培った精神力や集中力
は、日常生活や他の学びにも良い影響をもたらしていま
す。どうか、このときに自分の成長を把握し、新たな気
持ちで新年を迎える準備を進めてください。皆さまのご
協力に心から感謝申し上げます。多くの課題を乗り越え、
成長を続けることができました。ありがとうございまし
た。
また、年末の忙しさの中にも、ひととき書写書道と向
き合い、家族や友人と過ごす時間を大切にし、新たな年
に向け希望を胸に、新しいスタートを切ることを希いま
す。私たち書研も引き続き皆さまのお役に立てるよう全
力投球してまいります。では皆様よいおとしを・・・
条幅作品の解説
阿 保 幽 谷
○ 作品― 自 然
○ 読み方― しぜん
○ 書体― 行書体
○ 意味― どんなに世の中が進歩しても、良くするのも、悪くするのも
人間である。ではどうしたらよいかというと、いくら科学が進歩を
しても不自然であってはよくない。やはり、自然がよい。自然を不
自然にするのは人間の欲望である。欲望が強ければ強いほど不自然
になる。夏目漱石は、晩年「即天去私」ということばを書いている。
宮澤賢治は、法華経を信仰したといわれている。どちらも、自然を
天にたとえている。天とは宇宙である。宇宙には法則がある。
人間は、一生で終わってしまうが、自然はいつまでも生きつづけて
いる。これは宇宙の法則に従っていると夏目漱石も、宮澤賢治も言
っている。これらは皆、自然の姿である。苦しんだり、悩んだりし
た時は、この自然の法則にもどることである。
○ 学び方
・心構え― 欲をすて、自然の姿に戻って書を書くときっとよい作品
ができる。うまくいかなかった時は欲が出てきた時である。
・全体のまとめ方― 変化をつけたらバランスを保つことである。
「自」を小さく書いたら「然」を大きくし、全体のバランスを保つ
ことが大切である。
・字形のとり方― 「自」の形は、たて長で、たて画の間をせまくす
る。「然」は「自」を受けて、横長になるように書く、その変わり
下の四つの点( れっとう) は短く上部とのバランスを保つとおかし
くない。
・用筆法― 筆づかいは、線の中に力が入るように俯仰法を使って筆
をはね返すようにすると力強さが出てくる。線の方向の変化は、あ
とでバランスを保つように直すことを忘れないこと。
・墨色― 墨は濃いすみを使って書いた。
・筆は― 書き初めの筆を使って書いた。
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