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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 暑さのたえがたい日が続いておりますが、書研の三十 三回展の作品もしっかり賞が決まりだし八月の末には皆 様にお知らせ出来ると思います。さて前回の続きですが、 用語の問題が頭をかすめ、文章を書こうとする時に「字 引」を引かなくてはと思い、必要な用語を検索し、「辞書 で確かめる」すなわちひとつの行為のなかで頭脳は「字 引・辞典・字書・字典」と回転します。(今はインターネ ットや電子辞書、コンピュータと大変発展しています) すでに先賢の『辞書の話』(加藤康司著 中央文庫 昭和 五一年)には解説されていますが、ひとまず、足踏みの 気持ちで我が身の丈ほどのある用語の整理を試みました。
 学習指導要綱では「辞書」となっているので統括用語 として用います。「国語 第三・四学年(イ)辞書を利 用して調べる方法を理解する。第五・六学年 事典の活 用」
 まず辞書の同義語・同類語を抽出し、Aとしてその注 解を試みました。Bとして出典毎の解説を摘出し、Cと して比較的に知られていない辞書・字書を紹介します。
A *「語彙(ごい)」  語彙とは、語を「彙」(集め)めたという普通名詞です が、次のように未完ながら辞書名とし名を連ねています。 それは明治四年、当時の文部省編集課(同五年報告課  一三年編集局)で五十音引きの「国語辞書」の編集が進 められました。その際の名称が『語彙』でありましたが 進捗がはかどらず「あ・い・う」の段階で大槻文彦個人 に編集が委託され、明治二二年に刊行、書名は『言海』 と改められました。
 *「字彙」『諸橋大漢和』では①として「字引、辞書」 と解しています ②には固有名詞として書名『字彙』を 説明してあります。「書名。一二集。首末二巻を添ふ。 明、梅膺祚撰。」 
 又詳しくはCへ。この暑さに負けないで、しっかり学 んで、体もきたえていく季節です。 
九月にお逢い出来ることを今から楽しみにしています。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

主人不相識 偶坐為林泉
莫謾愁沽酒 嚢中自有錢

読み ― 主人、相識らず、偶坐、林泉のためなり。謾に酒を沽うを愁うる莫れ。      
      嚢中、おのずから銭あり。  

意味 ― 主人と私とは顔見知りというわけではないが、突然、お訪ねして、かくの如く   向かい合って坐っているのでは、お宅の林泉が見事だと聞いて、一度はぜひ見せて頂   き度いと思っていたからです。いやいや、何もおかまい下さるな、酒なぞ、ご心配に及ばない。飲みたければ、金はこの嚢中(ふところ)にあります。今日は、お庭を見せて頂くことが、わたくしの一番の馳走なのです。

題目 ― 題袁氏別業  

作者 ― 賀知章  
学び方   
○全体構成……二行、五言絶句、二十字    
・中心 ― 二行の中心をあわせ、二行目は 署名を入れても行が余ること    
・墨つぎ ― 「主」と「為」と「嚢」の三ヶ所で、墨一色で遠近感を出すために、墨つぎは太く、他の文字は大小の変化をつけて立体感を出す。特に墨つぎの前の文字は細くする。    
・全体 ― 変化をつけて、全体がまとまるようにする。   
○文字 ― 墨つぎは左右を互い違いにし、変化をつけて、墨のついたところは太く、    
大小の変化や、太い細いの変化をつける。    
・署名 ― 小さく書く。残った墨で、    
・線の書き方 ― 墨のついたところは太く、だんだんと細く、墨つぎ前の文字は細い。   
○書体 ― 行書   
○筆 ― 半紙を書く大筆で書いた。
 


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