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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


楽しいお正月も過ぎ、もう二月です。二月は平成最後 となる検定です。二月はにげる、にがさないようにしっ かり資格をとっていきましょう。今月は*『落葉集』(ら くようしゅう)(慶長三(一五九八)年)からです。
 印刷された漢字は草書の気分のある行書体、仮名は万 葉仮名を交えた当時の通用体です。その資料『落葉集二 種』(天理図書館善本叢書)を、付箋を加えながらの全 文通読であったが、なかなか根気を要する作業でありま した。本書の価値は数多くあるが、現行の濁点、半濁点 が記号「゛」「゜」として確実に加えられているを第一 に挙げられます。ある資料に「濁点半濁点が付されたの は江戸時代以後」とあったが通常江戸時代は徳川氏開幕 の慶長八年とされているので如何であるのでしょうか。
*『説文解字』何のおりであったか、気の置けない仲間 の雑談のなかで「漢字の字引では、何故一が最初なのだ ろうか」との話がでて、『説文解字』の最初が一だから となり、横一画で物事すべて一から始まるからとも考え られたが、なるほどと想いました。『説文解字繫伝』(小 徐本)に「一 惟初太極道立於一造分天地化成万物凡一 元属皆従一」一惟レ初メ太極ハ一ニ道(したが)ヒ立テ 天地ヲ造リ分ケ万物ヲ化成ス凡(すべ)テ一ノ属ニシテ 皆一ニ従フと説き、これに対して高田忠周は、「説文に 惟れ初め太極は。道が一に立つ。天地を造分し万物を化 成するとあるが。易の説に泥みたるものにて造字者は其 程までに考へたものであるまいが。事物の始め。数の初 めなり。一横画にて其意を見はす(指事)なり。」と 『大系漢字明解』(冨山房 昭和一一年)で説いています。
書名は「文を説き、字を解く」の意で、「文」とは 象形でそれ一個により音・義を作り「字」とはそれらが 二つ以上組み合わさった複合体をいいます。今月は検定 月、一歩一歩前に進んで行きましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○作品 九 成 宮 醴 泉 銘 の臨書(欧陽 詢 唐)
「始以武功壹海内終以文徳懐遠人東越青立」
○読み方 ― 始 以 武功 壹 海内 終 以 文徳 懐 遠人 東 越 青丘
 ●始めは武功を以て海内を壹にし、終には文徳を以て遠人を懐け東は青丘を越ゆ
○意味 ― (中国の唐時代の太宗皇帝は)始めは武力をもって天下を統一したが、後には聖の教え、すなわち文の徳をもって人民を治めておられるので、近い地方はいうまでもなく、遠いところの人々までもその徳にしたがい、東は青丘という国の人までも集まってきた。
 ●文徳とは、慈愛、仁徳、おもいやり人の道というのは、道徳とか倫理とかいわれるが、なんといっても愛情である。愛情でも、親子の愛、友情、恋愛、宗教愛、人類愛、または、キリストの愛、孔子の仁、釈迦の慈愛というものがある。これらは皆、思いやる心をあらわしている。思いやる心のある人が人の道を修める人で、太宗皇帝はこれによって天下を統一したといわれている。
○作品について―楷書のすぐれた手本といえば、古典の九成宮醴泉銘がある。書家といわ  れる人は、必ずこの作品を学ばないとよい書は書けないといわれるものである。先ずこ  うした作品を通して、基礎基本をしっかりと学ぶことが大切である。太宗の徳の書。
○学び方
 ●心構え―基礎基本を学ぶには、すぐれた書を手本とし、その中から共通する書法を見  つけ出すことである。九成宮醴泉銘にはそれがある。
 ●全体のまとめ方―①中心をそろえる。②文字の大きさは大体同じ。③たてよこをそろ  える。④余白をあける。⑤厳正な書。
 ●文字の書き方 ― ①文字の形はたて長が多い。②背勢でたての線は内側にそる。
 ●線の書き方 ― ①起筆終筆が角ばる。②転折は角ばる。③線は全体に細い。④はねは  短い。⑤はらいは長い。⑥口の二画目はあけて見せている。⑦とめは三角形が多い。  ⑧一字の中で太い線と細い線がある。
 


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