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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 第三十四回書写書道展覧会が九月七日、八日に、日本 一住みたい文京区の文京シビックセンターで行うことが 出来ましたことは、書研の皆様とそれをささえてくださ る先生、スタッフの皆様に重ね重ね御礼申し上げます。
 ◎「辞書の思い出」  
 教職期「字引が間違っている」
 若気の至りですが、次のような場面での発言であった。
時は昭和三四年一学期の職員会、処は東京都足立区小学 校職員室、教務主任による学校行事のプリントの説明で、 内容は忘れたが、そのプリントの「漸次」を「ざんじ」 と読み、其れに対し私は「ぜんじ」であると述べたが、 大先輩の教務主任は「辞書にあった」との答え、それに 対して「字引が間違っている」と云い、会議後その辞書 の出版社に問い合わせをした。
 どれだけの日数を経たか、忘れた頃、神田から東京の 外れまで肩書きのあるお二人が釈明にお越しになり、と ても恐縮の至りでありました。今から思えば、新任そう そうの職員会議で、よく大先輩に対して広言まがいの言 葉が出たものだと、特に新任校での気負いがあった訳で はないが、発言後七〇年を経過して思い当たる節があり ます。その辞書は「新」を冠して改版となっており、関 係部分は次の通り「ざんじ〔暫時〕「しばらく」の漢語的 表現。     ざんじ〔漸次〕「ぜんじ」の読み誤り。          ぜんじ〔漸次〕だんだん。次第に。」
 『日葡辞書』との出会い
 教職のかたわら教育書道に関する資料を集め、その解 明を心掛けていました。まだ『日葡辞書』の邦訳が出版 されていないころで、何とはなしにローマ字背文字の分 厚い辞書に心を引かれ、立ち読みで「カンジ」を検索し、 外に出てメモをとりました。そうこうしている間に研究 職への転身となり、学会や機関誌に発表出来るようにな りました。
 このように『日葡辞書』は、研究活動における私にと って救世主となったのです。  展覧会も無事終え、十五号台風で被害に遭われた人々 に心より御見舞い申し上げます。くじけず朝がくるのを お祈り致します。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「 雲 聳 奇 峰 」

○書体=草書
○文字数=4字
○読み方=雲は奇峰を聳えんしむ
○意味=夏の雲は奇峰の天に聳えるように珍しい形をしている。
○墨色の変化=はじめの雲はたっぷりと墨をつけ「峰」でかすれが出るようにかすれを出す、と  同じにたてを長く右による。
○署名はふつうに小さく書く、印を押す。
○心構え=変化と統一を重んじた。はじめは「雲」でななめによせ「聳」でたてをまっすぐにし、
 「奇」で「  」左傾き右によせる。
 「峰」はかすれてたて画を長く書く。
○心構え=どっしりと(全体的に)
○全体のまとめ方=はじめはたっぷりと墨をつけ、最後はかすれる。
○一字一字について=「雲」は左に傾き、「聳」はまっすぐで左へ、「奇」は最後で左から右へ  まげる。「峰」はかすれてさいごのたて画は太く太く、さらにほそくする。途中はどっしりと  太くする。  
 


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