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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


第三十三回全国書写書道展覧会も無事大成功となり皆 様に御礼申し上げます。又、資格を持って進学や就職に と書研は役に立つよう努力しておりますので輪となり頑 張っていきましょう。今月は*「類書」からです。
『漢字語源字典』(水上静夫著 雄山閣 昭和五八年) では「漢籍の場合は、中国人によって顕された多くの書 物の中から、その内容が同類のものを書き抜いて、事項 別に分類・編集して、検索の労を省き理解の便を計った もので、一種の百科事典に近いものである。」と説明し ています。
 我が国のものとして世界的に評価をえているのは『古 事類苑』がそれに当たります。この書は明治一二年、文 部大輔(後の大臣)への西村茂樹の建議により、文部省 内編集事業が開始されました。省内の改革により東京学 士会院・皇典研究所・神宮司庁と編集機関が移っていき ましたが、三五か年後の大正三年に三〇部門一千巻とし て完成しました。本書の内容は、江戸時代以前の我が国 の制度・文物・社会の事項を、原文のまま引用していま す。それにより我が国の伝統文化の研究上、貴重な資料 を提供しており、私の前著『「いろは」を伝えよう』執 筆の際には、たいそうお世話になりました。
*「辞林」「ことばを多く集め、また解釈書物」(『大辞林』) とありますが、固有名詞とて『辞林』(金沢庄三郎)の辞 書もあります。B以下は、出典辞書毎の関係用語摘出で す。
*『大漢和辞典』字典①康𤋮字典をいう。②字書に 同じ。辞典①ことばが典雅なこと。②じびき、言葉を順 序立てて排列し、之を解釈した書物。事典、字彙。辞書。
*『漢字百科大事典』(明治書院発行 平成八)「辞典」の 項目で辞書とも呼ぶ。」とした上で「ただ辞典を辞書との 区別する場合には用法・表記など規範を示したものを指 す。」としています。  
今月から新たな気持ちで頑張っていきましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「主人不相識 偶坐爲林泉 莫謾愁沽酒 囊中自有錢」   (中国の詩 五言絶句)
読み方 ― 主人 相い識らず ― 主人、不相識
       偶坐 林泉のためなり ― 偶坐 爲 林泉
       謾に酒を沽うを愁うる莫れ ― 莫 謾 愁 沽 酒
      囊中 おのづから 錢あり ― 囊中、自 有 錢
意味 ― 主人と 私とは顔見知りというわけではないが、突然、お訪ねしてかくの如く  
      向かい合って坐っているのは、お宅の林泉が見事だと夙(とくに)聞いていて、一度は  ぜひ      見せて頂き度いと思っていたからです。いやいや、何もおかまい下さるな。酒な  ぞ、御心    配に及ばない。飲みたければ、金はこの囊中(ふところ)にあります。今日は、  お庭を見せて      頂くことが、わたくしの一番のご馳走なのです。
大意 ― 気さくなところ、いかにも詩人である。
題目 ― 題袁氏別業(だい、えんしべつぎょう)
作者 ― 賀知章(がちしょう)―(中国の唐時代の詩人で、太常博士となり、開元の初  め秘書にぬきんでられ、礼部侍郎兼集賢殿学士にうつり、天宝の初めに辞す。天子は、  鏡湖の一部分を賜った。四明狂客と自称していた。)
意味 ― 林泉゠木を植え、池を造った庭園の意味(漢語的表現)
学び方 ― 全体構成
 ・墨つぎ ― 「主」と「爲」と「囊」の三ヶ所で墨をつけることにより、最初は太く、
   だんだんとかすれていく。そして「爲」で墨をつけ「囊」で墨をつけ、墨つぎは変化をつける。これが「書道」では大切な要件。  
・二行で中心をそろえる。一行目は半切一杯に書き、二行目は、一行目より上で終る。  
・署名 ― 小さく 残った墨でかく。したがって、署名は黒くならないで、小さく書く。    
全体的にまとまるように書く。
文字 ― 変化をつけて、行書で書く。
線 ― 行書らしく、墨つぎの前は、かすれる。全体も文字も線も、一つづきのようにつ  づけて書く。
途中 切れてもつづくように。
 


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