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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 毎年八月は展覧会の準備で大忙しです。忘れものない ようにすべての人が考える月でもあります。
 今月は○文字作品について
*『雪後庵夜話』(谷崎潤一郎『日本の文字』二三 中央 公論社版)
「…それは分厚い辞書類をひもとく場合である。…新村 博士が昭和十年に初版を出した「辞苑」は、国語事典と しては特別に重いものではないですが三十年に同じ博士 が出した「広辞苑」になるともう私には支えきれません。 …大言海や言泉等の巻数の多い大字典は、必要な巻を書 棚から引っ張り出すのが一仕事である。」以下六点は『日 本国大字典』(小学館)よりの引用。
*『硝子戸の中』〈夏目漱石〉「積み重ねてある字引や 参考書を、一冊づつあらためていくと」 *『思出の記』〈徳富蘆花〉「字引と頚っ引きでやっと ギゾオの文明史を齧りかかった僕が」
*『平凡』〈二葉亭四迷〉「父は教育といっても昔の寺 子屋教育ぎりで新聞も漢語字引と首引で漸く読み覚えて といふ人だから」
*『小公子』〈若松賎子〉「僕字引がなくって誰にも聞 かなければ」
*『或る女』〈有島武郎〉「辞書でも繰り当たり繰り当 てたように、自分の想像の裏書きをされたのを」
*『侏儒の言葉』〈芥川龍之介〉「文章の中にある言葉 は、辞書の中にある時よりも美しさを加へてゐなければ ならぬ」
 さて文字作品を考えてみましたが奥が深く次から次へ と作品が増えて行きます。その中で人生の参考となる作 品が必ずあると思います。今月は検定月、資格をもって 前に進んで行きましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

「山際見來烟  竹中窺落日   鳥向簷上飛  雲従窓裏出」
○読み ― 山際来烟を見 竹中 落日を窺う
       鳥は簷上に向かって飛び、雲は窓裏より出づ
○意味 ― 山際に煙を見たり、竹の中で落ちていく日を見る。
 鳥は上に向かって飛び、  雲は窓からうつるのを見る。   
 というように、この詩は四句とも景色をうたっている。こういうのは、山中の気を  表現し、素朴で、古い詩のおもかげを残している。
○題 ― 山中雑詩
○作者 ― 梁という中国の呉の国の人で呉均 という人の作。
○学び方
 ●全体構成……二行、五言絶句、二十字.   
 ・墨つぎ ― 「山」「鳥」「窓」の三か所で、左右をそろえない。すなわち、二行目の「窓」は一行目の中間にある。そして、墨つぎで太くし、あとはだんだんとかすれていき、「鳥」の前の「日」は殆どかすれて細い方がよい。これと同じように二行目の墨つぎの「窓」の前の「従」は細く「窓」と対照的である。それでいて全体がまとまっている。   
・署名 ― 署名も全体構成の一部としてみる。したがって、細く、小さく、残った墨で書くとよい。  
●文字のまとめ ― 大小の変化をつけ、全体構成を考えて、文字を書いている。したがって、太い線、細い線とさまざまに書いて、全体構成をみつけている。  
●線の書き方   
 ・大小の変化をつけ、全体のバランスを保っている。長い線、横の長い線など、変化をつけている。これが「書道」の大切なところである。  
○書体 ― 行書  
○筆 ― 半紙に四文字書く、大筆を用いた。線質が大切であるから、練習を忘れないこと。
 


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