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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


水無月 青田をさわやかな風が渡るころとなりました。 今年も第三十六回全国書写書道展覧会の〆切り日が近づ きました。しっかりと作品を書いて下さい。
『教科書の変遷』(東京書籍)では次のように述べます。
「また、三発行会社が協議して文部省に交渉し、今まで 木版であった教科書体文字の専用活字をつくって、修身 と国語の三学年以上に使用した。この活字の文字原稿は、 それまで国語読本の木版原稿の文字を書いた井上千圃に 依頼したが、その文字は一つ一つ文部省の検査を経て何 度か字画が修正された。ようやく昭和十年三月発行の 『小学国語読本』巻五に、初めてこの新活字が使用され たが、好評であった。」これらの別系統として、石井茂 吉(「写研」創業者)は教科書体の設計を試みています。
『文字に生きる』(写研編 昭和五〇年)では次のように 述べています。「教科書体は、昭和十三年に作成された。 (中略)漢字は井上千圃氏の教科書体に模し、かなは石 井が書いた、レタリングデザイナーの佐藤敬之輔氏はこ のかなを「印刷用のかなの中で、平安朝の雰囲気をもつ、 最も優美なる文字」と評している。結局、この教科書体 はほとんど教科書には、採用されるところとはならず、 昭和十四年、ハワイ州の日本語教科書に採用されたのみ であった。」
 第四期 設計教科書体期 昭和二四年〜
 前記のように、教科書体活字の文字原稿は、書家であ る井上千圃が書き、種字を彫ったのは彫師の系統を引く 人々でありました。又、教科書発行各社の特色が見られ るようになるのにはしばらくの年月が必要であったと想 像されます。歴史は少しづつ現在に、そして正しい日本 文字の進化を知ることができます。そして展覧会が三十 六回を迎えることができます。どんどん参加して下さい。 楽しみにしています。


条幅作品の解説
阿 保 幽 谷
○梅 潤 入 書
○読み方―梅潤書に入る。(書体は行書を使う。)
○意味―梅雨の湿気が書物にしみ込む。
 梅雨の湿度が書物に泌み込んで困る。それだけ梅雨の湿度は書物にしみ刻ことを  困っているという時節である。
○心構え―書物を開いたら、心を楽しむようにしたい。
○全体のまとめ方―全部で四文字である。
 文字の間をそろえて、文字の間隔が同じになるように折って書く。
○文字の大きさ―「梅」が大きく、「入」も大きくとって、「潤」と「書」同じ大きさに折って  書く。
  墨つぎは「梅」でつよく押さえ、「梅潤入書」とそろえるように一気に書く。「入」でかす  れるが「書」でもっとかすれて書くようにする。又は「書」で改めて墨をつけ加えるよ  うにしてもよい。全体を二度で書くようにすると全体のバランスがよい。
  署名は改めて書く。
○「梅 潤 入 書」の書き方は「梅」は大きく、「入」も大きく書き、「潤」と「書」  は小さめに書くと大小のバランスがよい。中心はそろえて行書で書く。
○筆は普通の太さより少し太目をつかう。
 本課題は阿保直彦・片山智士「名跡墨場必携」木耳社 184 頁を使った。
 


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