さわやかな五月
全国書教研連盟会長 村上美碩
新緑にそまる木々や晴れて澄みわたる空、五月はもっ
とも過ごしやすい季節になりました。五月と言えばゴー
ルデンウィーク。楽しみにしている方も多いのではない
でしょうか。
ゴールデンウィークとはそれぞれどのようなときなの
でしょう。まず、五月三日は「憲法記念日」。一〇四七
年に日本の憲法がはじまった日です。五月五日は「こど
もの日」端午の節句といって男の子の成長を兜や五月人
形をかざったりこいのぼりを上げたりして、祝う日であ
るとされています。その間にはさまれた五月四日は二〇
〇七年から「みどりの日」となりました。以前は四月二
十九日が「みどりの日」でしたが、現在は「昭和の日」
となりました。それぞれの日がどうして祝日になったか
など考えるのも大切なことと思います。書写書道につい
ても文字の意味を考えるのは非常に重要だとだと思われ
ます。文字は単なる形や線の集まりではなくそれぞれに
深い意味や歴史、文化が込められています。その文字や
言葉がもつ想いや背景など考えて書くことにより作品に
たいする思いも深まります。これにより美しい文字を書
くことだけではなく、心のこもった表現もできる作品に
なるのではないでしょうか。
五月号裏表紙に第三十九回書写書道展覧会の募集要項
が掲載されました。今からしっかり練習して、ぜひ応募
してください。
きっと皆さんの進学・就職など前途が開けることにな
るでしょう。
条幅作品の解説
阿 保 幽 谷
「天 地 合 徳」
○読み方―天地は徳に合う
○通釈―天も地も徳に合う
○出典―孔子廟堂碑 唐 虞世南
○書体―楷書
○学び方
●心構え―力を外に出さない。内にかくし、出来るだけ力を内にかくし、外に出さない。
●全体のまとめ方―中心をあわせ、天地を同じようにする。「天地」で墨をつけ最後の「徳」で
墨をつけ直す。
近代日本の書は、墨色の変化をあらわす。
●文字の形のとり方―「天地合徳」は中心にあわせ、半折の左右を少しあける。というのは、
署名を入れるのでその分をとる。ただし、真中あたりから印を押してもあまるようにする。
●線の書き方―この文字の特徴は、力を外に出さない。したがって上手と下手とは紙一重で
ある。だから九成宮醴泉銘を習ったことのない人には力が入らないので、九成宮醴泉銘を書
いた人に書かせる。それほど上手と下手とは紙一重である
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