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 先生からの言葉(巻頭言



「日本文字」を伝えよう
全国書教研連盟会長
安 藤 隆 弘


 今年も書研の三十三回の書写書道展覧会が九月八日九 日に文京区シビックセンターで迎えることが出来ますこ とは、本当にうれしいかぎりです。日頃の努力と勉強が 役にたつのだと思います。
今月は *「音義」から始めま す。漢字の発音とその意義が解説してある書籍。その上 に書名がきて『涅槃経音義』となると、『涅槃経』を解説 するため字引の役目を果たします。
漢籍・仏典などの特 定典籍から抜粋した文字群に音・訓を付した音義の類は 狭義の辞書には含めないのがふつうです。しかし実際に は、多くは基本的に辞書と共通する特色を備えています。

 *「韻書」韻字で分類した字書。漢字の大部分は子音 と母音によって発音が構成され、その母音をグループ分 けした字典。『切韻』『唐韻』等(中国)の書名があり我が 国では『平安韻字集』『童蒙頌韻』『新韻集』など漢詩を 作る際に利用されています。
 *「名義」本来の用法は「表立った名前、名にふさわしい 義理」であります。「名」を「仮名」の場合のように「文字」 とし、「義」を「ものごとの意旨、わけ。意旨の説明、と きあかし」とすることにより書名の働きが理解できます。
 *「字書」『諸橋大漢和』では「漢字を集めて其の字音を 指示し、意味を説明した書。字引。」と解説し、以下中国、 日本の字書の流れを詳細に解説したとあります。用語と しての〔字書〕は唐時代の『千禄字書』の本文中に、「且 字書源流起於上古」(且つ字書の源流は上古に起こる)と あります。我が国の資料として知りえた範囲では、元和 本『下学集』(文安元年 一四四四年 岩波文庫 昭和一 九年)の「下学集序」の「乃造字書以授之目日下学集也」 (すなわち字書を造りて以て之を授けなづけ(目)て下 学集という)とあります。  
 しっかり学んで書研の資格をとりましょう。

条幅作品の解説
阿 保 幽 谷

○ 作品 ―畳 雲 長 風(行書)
○ 読み方 ― じょううんちょうふう
○ 意味 ― 幾重にも重なった雲が遠くから吹いてくる風ということで、夏のようすをあらわしたものである    
 夏は暑い。暑いと涼しさがほしくなる。こういう時に雨雲が風にのって移動してくると気持ちがいい。暑い時には涼しさがほしい。寒い時には暑さがほしい。
  これが世の中の姿である。要は、バランスよく、調和が保たれると自然のようすにしても、人間の生き方にとっても大切なことである。
 ○ 学び方
 ● 心構え ― 暑い時には涼しくなる雨雲がやってくるとうれしい。この涼しさを求めて作品を書いていくとよい。  
 ● 全体のまとめ方 ― 四文字をたっぷりと筆に墨水を含ませながら、中心をとりながら文字の大きさと余白のとり方に注意して書くとよい。
   線の太い細いの変化をつけていることに注意すると共に、文字と文字のつながりに気をつけるとよい。  
 ● 字形のとり方 ― 「畳」は、たて長で力強く、うかんむりの横線を長くする。
  「雲」は、雨かんむりの横の線を長く、あとは思い切って幅狭く変化をつけるとよい。
  「長」は、一画目を長く、太くて少し小さめでまとめる。
  「風」は、たての線と線との間を狭く、たての線は思いっきり長く書くとよい。
  そして気持ちを大きくもって書く。
  ● 線の書き方(用筆・運筆) ― 線は、長い線と短い線をよくみて書くとよい。また、太い線と細い線を区別してとらえ、線がつながっていくようにする。
  特に、線が折れたり、はね返る時は、鋒先を少し紙に食い込むように筆圧を加え、いっきに書くようにするとよい。そのためには、一つ一つの線を見ながら書くのではなく、文字として流れるように書きたい。そのためには、語句をおぼえ、筆つかいをおぼえ、いっきに書くと筆力が出て生きた書が書ける。
 


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